使える低速モード・使えない低速モード
音楽ストリーミング・サービスを利用する際に、ぜひお勧めなのがMVNOの「低速モード」なんですが、一口に低速モードと言ってもどのMVNOでも一緒か…というと、実は通信速度には各社で差があって、使い勝手の良し悪しがあるんです。
2017/05/21 追記あり
Docomo/au/Softbankの大手キャリアにおける「低速」は、高速LTEを使いすぎてしまった際に速度制限を意味し、「これ以上は高速通信は使えませんよ、低速で我慢しなさいね」と、キャリアから課される「ペナルティ」のような印象があります。
しかし、MVNOで言う「低速」は少しニュアンスが異なります。
全てのMVNOでも大手キャリアと同様に、契約したデータ容量を使い切った場合には速度制限が行われ「低速」での利用を余儀なくされます。
ただ同じ「低速」と言う言葉ですが、キャリアの場合には最大128kbpsであるのに対して、MVNOでは200kbpsが標準的な低速時の速度となりますので、実際に使用してみると、128と200という数字から受ける印象より大きな違いを感じます。
また、一部のMVNOでは、ユーザーが任意で「低速」での通信を選ぶ(指定する)事が可能で、この場合の「任意で指定した低速通信の状態」を「低速モード」と言います。
ユーザーが自分の任意で高速⇔低速を切り替える事ができる「低速モード」を提供しているほとんどのMVNOが、切替用の専用アプリを配布しており、1タップで高速⇔低速切替が簡単にできるようになっています。
しかも「低速モード」時には、通信量がカウントされませんので、契約データ容量を食う事がなく、当然料金的にも無料で利用できるのが最大のメリットです。
つまり、速度はあまり速くない(大手キャリアの低速よりは速い)けれど、無料でデータ通信ができて、高速容量を節約できるという訳です。
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低速モードで何ができるの?
たかだか200kbpsの「低速」で何ができるの?って、ハナから馬鹿にしてません?(笑)
特に大手キャリアしか使った事がない方には全然ピンと来ないかもしれませんが、実は「低速」でもできる事はたくさんありますし、低速モードを賢く利用する事で、高速データ容量を効率よく使ったり、料金を節約できるケースもあるので馬鹿にできません。
よく言われる低速でも問題なく利用できる事…にはこんな事があります。
- テキストメールの送受信
- LINE・Viber等、チャットアプリのトーク
- Facebook・Twitter
- Yahoo!やGoogle等のニュース配信
- ストリーミング音楽配信
如何でしょうか?
思ったより全然使えませんか?
さすがに「画像」「映像」系は苦手で、メールもSNSもテキストだけならサクサクですが、画像添付となると、画像の大きさにもよりますがやはり少し時間がかかる場合があります。
同じSNSでも画像中心のInstagramは苦手な部類に入るかもしれません。
YOUTUBEや映画配信サービスはまず無理です^^;
要は、画像・映像系以外ならほぼ問題なく使えちゃうって事なんですが、言い換えると、高速通信を使わなくて良い場面で低速を使っておけば、その分だけ高速データ容量が多く残りますよね?
その残った高速通信を本来高速が必要なコンテンツに利用できる…と言う意味で、限りある高速データ容量を効率よく使えるようになる訳です。
つまり、メールやSNSなど必要のない場面で、高速通信を無駄遣いせずに温存するために低速モードが効く…って訳です^^
音楽ストリーミングに最適です
そんなお役立ちの「低速モード」の使途として、ワタシが最近イチオシでお勧めしているのが音楽ストリーミング配信サービスです。
「AppleMusic」「GooglePlayMusic」をはじめ、「LINEmusic」や「AWA」「AmazonPrime」など、音楽ストリーミングサービスは非常に人気で、通勤通学時や仕事中・勉強中、ドライブ中など、様々なシーンで音楽をかけ放し…と言う方も少なくないと思います。
実際、ワタクシが「低速モード+音楽ストリーミング」を利用するシーンはドライブ中で、UQmobileのSIMを刺したiPhoneでドライブ中ずっと音楽をかけています。
ストリーミングそのものはあまり通信容量を食わないのですが、前述のように、必要ない場面で高速通信を無駄遣いしてしまうと、混雑時のWEB閲覧や動画視聴など、本当に高速通信が必要な場面で容量不足…なんてことにもなり兼ねませんので、高速通信を必要としない音楽ストリーミングはもっぱら低速モードでの利用…という訳です。
ちなみに、ストリーミング1曲にかかるパケット量は、音楽配信サービスや、どんな曲を流すかによっても違うので、一概には言えませんが、最低でも2~3MB程度(※)はかかってしまうようです。
※こちらの記事を参考にさせて頂きましたm(_ _)m→こちら
単純計算で、5GBだと2,000曲ぐらいでしょうか(平均値2.5MBで計算)。
2,000曲も聞ければ問題ないじゃん…なんて思ったら大間違いですっ!
パケットを使うのは何も音楽だけではないですから、WEB閲覧も、SNSで連絡し、ブログを読んで…と消費してゆくと、音楽に割り振れる通信量はそんなに多くないのかもしれませんよ。
低速モード利用の注意点
先ほどから大絶賛のMVNOの「低速モード」ですが、全てのMVNOで提供されている訳ではありません。
低速モードを提供しているMVNOは余り多くなく、一部のMVNOに限られるので注意が必要です。
また高速⇔低速を切り替える場合に、WEB(マイページ等)からでも問題ありませんが、回線混雑時には切替ページに行く事に時間がかかってしまうケースがあるので、できれば切替が可能な専用アプリがあると使いやすいと思います。
こちらはmineoの切り替えアプリの画面です。下方のボタンのタップで簡単に高速/低速を切り替えることができます。
音楽配信とは直接関係ありませんが、「バースト機能」が備わっていると使い勝手が向上します。
バースト機能とは、通信の頭の部分だけは高速通信をすることで、通信時間を短縮して早く表示させる機能で、正式には「初速バースト機能」と言います。
音楽ストリーミングではあまり効果を発揮しませんが、WEBの表示等では、最初に高速で大部分のファイルをDLしてしまう事で全体の表示が早くなる効果があり、あるのとないのではかなり印象が変わってきます。
そして「低速モード」で最も重要な事は実効速度です。
「低速モード」に限らずモバイル通信の通信速度の表記はベストエフォート方式といって「理論上で最も速い速度」を記載すれば良い事になっています。
ほとんどの場合の低速モードの速度表記は「200kbps」となっていますが、実は実際にこの速度が出ているかどうかは計測してみないと分からないんです。
一律、みんな「200kbps」と書かれていますが、実際に速度計測してみると各社かなり差があるものなんですが、元々「低速」な訳ですから、最速値に近い速度が出ていないと実用性のない通信になってしまう可能性があるんです。
因みに、現在ワタシが契約している2枚の格安SIMを比較してみました。
「FREETEL」と「mineoドコモ」の低速モードの速度計測結果ですが、同じ「200kb」を掲げていてもmineoが上限いっぱいの200kbpsに近い速度が出ているのに対し、FREETELの測定値は約半分の100kbps程度です。
こちらは、mineoの低速モードを何回か計測した結果ですが、あまり差がなく常に安定した速度が出ていることがわかります(最上段は高速LTE接続時の速度です~かなり速いです)。
この事例を見ても分かるように、言葉巧みにサービス内容の充実を謳っていても、実際の通信速度は実用性に乏しい宣伝だけのための言葉だった…なんて事があるので、よくよく吟味が必要です。
少なくとも、ワタクシが知る限りで「低速モード」の速度や品質が良好なのは…、
・UQ mobile
・mineo
・IIJmio
といったMVNOで、いずれも上限いっぱいの速度を安定して利用する事ができます。
===(以下追記(2017/05/21))=====
この記事を書いてから時間が経過し、私のスマホ環境も変更がありました。
本記事執筆当時はメイン回線mineo、サブ回線FREETELでしたが、現在はメイン「UQmobile」、サブ「Y!Mobile」「IIJmioTypeA」と変化しています。
「UQmobile」「IIJmioTypeA」はご存知の通り、数少ないau回線を利用したMVNOですが、いずれも「低速モード」を提供していますので、速度計測を行っています。
\ | IIJ TypeA | UQmobile | |||||
時間 | 下り速度 | 上り速度 | PIN | 下り速度 | 上り速度 | PIN | |
10時台 | 0.30 | 0.09 | 56 | 0.19 | 0.18 | 41 | |
12時台 | 0.20 | 0.23 | 55 | 0.20 | 0.19 | 41 | |
14時台 | 0.29 | 0.24 | 55 | 0.20 | 0.19 | 48 | |
15時台 | 0.25 | 0.32 | 47 | 0.20 | 0.21 | 46 | |
17時台 | 0.30 | 0.48 | 49 | 0.20 | 0.19 | 42 | |
20時台 | 0.20 | 0.48 | 54 | 0.20 | 0.17 | 42 | |
0時台 | 0.37 | 0.43 | 48 | 0.20 | 0.20 | 44 |
上記の表は別記事からの引用ですが、「UQmobile」と「IIJmioTypeA」の低速モード時の速度を時間ごとに計測したものです。
上記で絶賛している「mineo」と同様に、上限いっぱいの200Kbpsに限りなく近い速度が出ています(IIJは超えちゃってます^^;)。
こちらは「UQmobile」のアプリです。
如何だったでしょうか。
今回は、大手キャリアではほとんど意識されない「低速」が、MVNOではデータ容量の効率利用や料金節約に非常に重要な役割を担っている事や、同じ「低速モード」でもMVNOによって、非常に優良なサービスを提供している場合もあれば、(悪い言い方をすれば)口だけで実効が伴わないサービスもある事などをお知らせしました。
賢くMVNOを使うなら「低速モード」は必須だと思いますし、同じ低速モードでもよく中身を吟味して良質なMVNOを選んで頂きたいな…と思います。
より良いスマホライフを!
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